第22章 愛を
隆くん、俺、万次郎とエッチしちゃった。
口には出さない。心の中だけで呟く。
隆くんが、愛おしそうに眩しそうに俺を見る度に、ものすごい罪悪感に襲われた。
今日俺が唐突に来たのは、一緒にいたかったからだ。それだけだ。
凛でもなく、千冬でもなく、今日は隆くんといたかった。
ピアスの話の流れで、アクセサリーショップに立寄った。
モノトーンで纏められた店内に、シルバーやゴールドが輝く。
この間のクローゼットを覗いた時も思ったが、センスがいい。
今日の私服も俺好みで、モノクロのジェンダーレスな服装が中性的な彼によく似合っている。
こうやって一緒にみていて、オレがいいなと思ったものをも好きだと言った。
それだけのことなのに、なんだか嬉しくなった。
先に外で待ってて、と言うので、店先でが出てくるのを待つ。
「あのー、お一人ですか?」
「は?」
突然、まったく知らない派手な女に声をかけられる。厚化粧だし、香水の臭いもきつい。
「めっちゃイケメン、もし一人なら一緒に遊び行きませんか?」
「いや、連れいるから」
「え〜連れって男?女?」
「男だけど」
「じゃあその人も一緒に「隆くんなにしてんの」
なかなかしつこい女に困っていたタイミングでが出てきた。正直めっちゃ助けられた。
さっきの女はの顔を見るなり、顔を真っ赤にして口をパクパクさせてフリーズしている。
大袈裟だといいたいが、正直こいつの顔は美少年設定のアニメキャラクターでもこのレベルにはならないだろうという、あまりに整いすぎた容姿をしているから仕方ない。オレはこんなやつとこの間セックスをした。外で何考えてんだオレ。
は無表情で、口を開いた。
「俺の男にちょっかい出すな、消えろブス」
マジかお前
女は唐突な暴言にポカンとしているが、オレまでポカンとしてしまった。
そんな俺の腕を強引に掴んで、狭いビルの路地に連れ込んだ。