第20章 招かれざる客
言葉が見つからず口ごもっていると、そのままベッドに押し倒された。
「なあ、なんでああいう事誰とでもできちゃうんだよ」
「…別に、誰とでもしてるわけじゃない」
「でもやってる事まんまビッチだぞ」
「だったら何?」
いい加減鬱陶しくて、隆くんを睨みあげる。
「傍からお前と九条をみてて、最初は九条がお前を求めてるばかりだと思ってた。でも最近になって違うってわかった。
愛情に飢えてんの、お前だろ」
「っ…!」
愛に飢えてる、俺が?
「色んなやつ誑かして、気持ちを弄んで、そういうやり方しないと自分が愛されてるって思えないんだろ」
「っ、全然、違う!」
「じゃあなんでそんな立ち回りしてんの?」
「お前に、言う必要ない!」
言う必要がないのではない。ただ言い返せないだけだ。
流石とでも言うべきか、すべてを見透かされている気がして心地がよくない。
俺の愚かさを知った彼は、もう俺のことなど好きじゃなくなったのでは…そんな強い不安に襲われた。
「なんつう顔してんだ」
「は、なに、どういうこと」
「不安でたまらないって顔」
「!」
「、オレの目ぇ見ろ」
「いやだ」
「」
「……っ」
恐る恐る、隆くんの顔に視線を向ける。
隆くんの表情は真剣で、感情をイマイチ読み取れない。
何を考えている?俺に失望した?
聞きたいけど、口に出す勇気はない。
「……はぁ、何震えてんだよお前」
「ぁっ………」
「っあ〜〜〜、クソっ。悪い。少しいじめすぎた」
そう言って、額にキスを落とした後に上から覆いかぶすように俺を優しく抱きしめた。
「隆、くん…」
「お前がビッチだろうがなんだろうが、オレの気持ちは変わってねーよ」
「!」
なんで、なんでこの人は、俺が欲しい言葉を与えてくれるんだ。
自分が傷を抉ったくせに、優しくするなんて卑怯だ。
そう思うのに、不安から張られた緊張の糸が解けて、ぶわっと涙が溢れてくる。
それを見て、隆くんは優しく俺の頭を撫でてくれた。
「よしよし。ホント、お前かわいすぎ」
「……かわいくないし」
「かわいいよ、見た目も、中身も。最高に可愛い。愛してる」
「隆くん…」
目を瞑って求めれば、唇に優しくキスを落としてくれた。
でも、足りない。俺は優しいキスじゃ足りない。
俺を貪り尽くして欲しい。