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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第19章 休息【第三部】



「場地さん、俺男の人好きになっちゃいました。
って、場地さんも知ってますよね。

俺、あの人のためにこれからの人生捧げたいって思ってます」

先程添えた線香の香りが鼻をくすぐる。
かつて追いかけていた背中は、もうどこにも居ない。

「これからも、見守っててくださいね」

俺は目的地に向かうべく、腰を上げた。




「さん、これマイキー君からです」
「ああ、千冬。おつかいありがとうね」

廃ビルの中の広々とした一室。
基本的にさんはここにいるらしい。

「遠いのにありがとね、今飲み物出してあげる」
「すみません、ありがとうございます」
「いいのいいの。千冬、サイダーは好き?」
「はい」

そう言うと、冷蔵庫からペットボトルのサイダーを取りだし俺の前に置いた。

「疲れてる時のサイダーってやばいよね」
「はは、わかります」

談笑してると、扉が空く。

「あ、凛。ごめんね、今は千冬が来てるから…」
「あ、こんちわっす」

入って来た九条さんからの返事がない。
そのかわり、酷く傷ついた顔をしていた。

「…」
「………あー。そっか。わかったよ。おいで、凛」
「うん…」

そういうと、九条さんはさんをソファに押し倒すようにしがみついた。

「!?」
「ごめんね千冬、ちょっとまっててね」
「…」
「よしよし。お前はお利口だね」
「っ……」

鼻をすする音がした。どうやら九条さんは泣いているようだ。
いつもクールで無表情な九条さんが、弱りきってなりふり構わずさんを求める姿にただただ愕然とした。

「、キスして」
「今はダメだ。お客さんが来てるでしょ、我慢しなさい。夜うちきていいから」
「……わかった」
「ん、偉いね。大丈夫、俺がそばにいる」
「いつまで。どうせいなくなるんだろ」
「お前が望む限り、いつまでも」

ここに来る前に、場地さんの墓の前で誓った気持ちが揺さぶられる。
自分が激しい嫉妬心に蝕まれるのを感じた。

「…ごめんね千冬。ちょっとこいつのこと送ってくるからここで待ってて。すぐ戻る」
「は、はい………」

そういって、九条さんと部屋を出ていった。
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