第16章 決戦後
「だって、かの有名な皇帝・さんっスよ?みんながほっとくわけないじゃないですか」
「皇帝って言うのやめて!」
「はいはい。まぁ、気にしてないって言ったら嘘ですけど、だからって好きじゃなくなるとかはないっス」
「そっか……」
「オレと付き合ってくれますか?」
「うーん」
じーっと、オレの目を見つめてくるさんの瞳が綺麗すぎて、直視するのが辛い。でもここで目を逸らしたら、キマらない。
だからオレも見つめ返す。
「………"今は"まだだめ」
「え、今はって」
「今でも十分かっこいーけどさ、もっと惚れさせて、夢中にさせてよ。俺がもっと、千冬がいないとダメになっちゃうくらい。俺をおかしくさせてみて。そしたら……
その時は俺から告白するね」
「…………ほんっとずりぃ…」
「ふふ、千冬の言う通り、俺のこと狙ってるやつ沢山いるからね」
「絶対惚れさせます」
「うん、千冬なら。ずっと一緒にいたら、きっと惚れちゃう」
「……ずっと一緒にいます!!」
「ぶふ、めっちゃ素直。そういうピュアなところが大好きだよ。
そのままでいてね、千冬。」
「はい、さん。愛してます」
さんの唇に、もう一度キスを落とす。
買ってきた花を花瓶に刺して、俺は病室を後にした。
ついでに、病室の近くにいた看護師さんに「バカなチンピラが素手でコップを叩き割って怪我した」と伝えて病院を去った。今頃怒られてたらいいのに。