第3章 炭酸
少しして、マイキー君が八王子から戻ってきた。
「タケミっち、あいつと会ってみてどう思った?」
「…なんか、別世界の人間っていうか、正直ビックリしました。あんな綺麗な人が総長、しかも皇帝って…」
「まあ、あいつはなりたくて暴走族の総長になったわけじゃないから。だから他のヤツらとは雰囲気違うだろ」
「そう、なんすか…」
一瞬、未来のことが頭をよぎる。
「なあタケミっち」
「はい?」
「あいつ、何か隠してる」
部下が闇金に手を出した。
所詮ヤクザが運営する闇金、あまりの暴利っぷりに部下の借金は膨れに膨れついに追い込まれて自殺した。
「あいつ、身寄りねーからよ。お前のとこに来たわけよ、皇帝さん」
「…で?何が言いたい」
「そう睨むなよ。お前らがいくらただの暴走族だっつってもやりあいたくはねえ。皇帝の名は有名だからな。だから一つ提案がある」
「提案?」
「、総長やめてうちに来い。お前の容姿と力を買って、借金2000万チャラにしてやる」
「そんなっ…!」
「うちに来たら、お前らの部下には絶対に手を出さねえと誓う。来ねえなら逆だ。わかるな?どうする、総長さん」
「っ……」
『、デス・ロウは俺の宝だ!』
『ごめ、んな…自分勝手な、兄ちゃんで……デス・ロウを、頼む…』
「少し、考えさせてくれ」
今日は東卍の集会。
「おー!これが今の東卍かぁ」
「あ?誰だテメェ!」
「わっ、ごめんなさい」
東卍連中の声に混ざって聞こえたのは、意外な声だった。
「え!さん!?なんでここに!!」
「あ!武道くん、こんにちは。遊びに来てみた」
「え…!?ってまさか…!!」
さんに絡んでたメンバーの顔が一瞬にして青ざめる。
「おい、こいつは俺が呼んだ客人だ。何喧嘩売ってんだよお前殺すぞ」
「ま、ま、マイキー君、違っ…!」
泡をふいて今にも倒れそうだ。
「まって万次郎、俺が急に現れちゃったから。彼をそんなに怒らないであげて」
「はぁ…ったく、どこまでお人好しなんだよ」
そういってさんの頭をポンポンと優しく叩くマイキー君の顔が、いつもより優しく見えた。
それも束の間、さんの目が突如光り輝く。
「あ!三ツ谷くん〜!みつけた!」