第10章 千冬
「さて、俺もう行かなきゃ。今日は大事な大事な任命式だ」
「は!?」
「ほら、千冬も集会あるでしょ?帰らなきゃ」
そういって、俺から体を離した。
「先のこと、期待しちゃった?」
「っ…!!」
顔に熱が集中する。熱い。恥ずかしい。
「あはは!その顔!おもしろすぎるでしょー!これからエロガキ千冬って呼んでやろっ!」
「さん!怒りますよ!」
「おー、こわ!それは勘弁!」
にしし、といたずらっぽく笑う姿も、この人の一挙一動すべてが愛おしい。
「じゃ、またね、千冬。いつでも連絡ちょーだい」
そういって手を降ると、さんは暗闇に消えていった。
何故だろう、胸が抉られるように苦しかった。
狂おしいほどに、愛してる。
第一部 ―完結―