第39章 終幕―finale― 【完結】
凛が死んでから3年が経った。
当時高校2年だった俺と雪村は卒業後、進学はしなかった。
「椚馬は事件後、フィリピンに逃亡してる」
「………そう」
「どうする、。後を追うなら勿論俺も行く」
「いや、その必要はない
俺が生きてることを知ったら、あいつは必ずまた俺の前に現れる。
そのために……極道の世界で名前を轟かせて、俺の存在に気づかせてやる」
椚馬を討つ。
俺はもう、生きている限り戦いから逃れることはできないだろう。
殺して、殺して、いつかきっと、俺が殺される日が来る。
それでも俺は
『幸せになって』
幸せになることを諦めない。
これが、俺の答え。
成人式が終わった。
会場を出ると、部下達が出迎えてくれた。
「「「「総長!!副総長!!成人おめでとうございます!!!!」」」」
200人程度のチンピラが会場付近に並ぶ様をみて、他の新成人達が足早にその場を立ち去ろうとしてるのが目の端に映る。
「………お前らなぁ…もうちょっと場所選べよな。それにわざわざ全員で来なくても……」
「「「「すみません!!!」」」」
「……ぶは、お前らホントにすみませんって思ってんのかよ!なぁ雪村?」
「おう、こいつらぜってえ口だけだぜ!」
「んな事ないっすよ!!」
「せっかくお祝いに来たのにあんまりですよ!!」
ドッと笑いが起きる。
俺はこんな雰囲気のDES・Rowが大好きだ。
暖かくて、優しくて、半グレというより部活みたいに賑やかで。
だけどやる時はキチッとやる。
俺たちは変わった。もうその変の半グレとは違う。最も危険で、関わってはいけない不良集団だと囁かれている事も知っている。
だけど。
ずっと兄貴がやって来たように、兄貴が作った雰囲気をそのまま受け継いだ。
それだけは、ずっと変わらなかった。
断言出来る。
「…………全員いる事だしこのまま聞いてくれ」
真面目な空気を察してくれたようで、一気にシンと静まり返る。
「………………俺は今日をもって、DES・Rowの総長を引退する」