第38章 想い
「う、がッ…!もう、やめてくれえっ…!」
「先に手を出してきたの、お前らじゃん?」
の拳が、ヤクザの顔面にめり込む。
情けないが、肋が折れて動けず倒れたままの戦いをみていた。
あっというまに暴力団の大人達を再起不能にし、残りの一人に最後の一発を打ち込んでこの戦いは終息した。
たった一人の高校生が、何日にも渡り続いていた戦いをいとも簡単に終わらせたのだ。
そうだ。これだ。
この人こそ俺らのトップだ。
戻ってきたのだ。
「…!」
「終わったよ、みんな。遅くなってごめんね」
俺らの方に振り返ってそう呟いた後、その場で膝から崩れ落ちた。
「!お前やっぱりまだ…!」
「流石に無理しすぎちゃったかも。
大丈夫、近くに隆くんと千冬待たせてるから…電話するね」
そう言うなり、ポケットから携帯を取り出して電話をかけた。
「……やっぱりすげぇな、お前」
誰にも聞こえないよう、そっと呟いた。
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「馬鹿かお前。再来週には退院させてやろうと思ったがもう1ヶ月延期だマヌケ」
病院に戻るなり、あのクソ医者に丸めた冊子で頭を叩かれた。
「…ごめん」
「おおぅッ!やめろやめろ、素直なお前は気持ちわりぃ。
…………で、ちょっと話していいか」
「じゃあオレらは外で…」
「いや、お前らもいていい。」
隆くんや千冬達が気を利かせて病室から出ようとしたのを制止し、話し始めた。