第37章 君は永遠の
いつぶりだろうか。
久しぶりに聞いたその声は、少しかさついていた。
「…!?さんッ…!」
「雪村、最近来ない。何があったの」
「……それは」
「いって、隆くん。お願い」
雪村には口止めされていたが、こうなっては致し方ない。
千冬に目配せをすると、小さく頷いてきた。
「……お前と九条がいなくなって、DES・Rowは狙われてる。二週間前にお前を任されてから、雪村とは未だに連絡が取れない」
「…………千冬」
「はい」
「バイク、出して」
「は!?さんまさかッ…!」
「無茶だ、お前まだ足の骨だって完全に治ってねえんだぞ」
「………」
「ちょ、さん!!」
が無言で腕に刺さった点滴を引き抜く。
そのままベッドから立ち上がろうとするが、久しぶりに足をつけて力が入らないのか、それとも痛むのか、膝から崩れ落ちそうになったのを千冬が抱きとめる。
「ダメです、さん。安静にしてないとオレたち雪村さんに合わせる顔がないです」
「………………千冬、お願いだ」
数秒間、千冬がの顔をじっと見た後大きなため息とともに言葉を放った。
「…………はぁ。怒られても知りませんからね」
「おい、千冬!」
「三ツ谷くん、この人はもうオレらの言う事なんか聞きませんよ
…ほら、ちゃんと皇帝の顔してます」
そういってふふっと千冬が笑ったので、の顔をみる。
「………ったく。後で3人仲良く怒られるしかねーな。
いくぞ」
彼のその瞳は、確かに焔を宿していた。
「……特服。久しぶりだ」
「似合ってますよ」
「よし、編み込みもできたぜ。ほら」
鏡に映る自分を見る。
久しぶりに見た俺は酷く痩せていた。
ああ、でも。
俺だ。
俺は誰だ?
皇帝?二代目総長?
俺は今まで一体何のために戦ってきた?
わからない。もう何も分からない。
だけど一つだけ、わかることがある。
「……行こう、二人とも」
俺には、守りたい奴らがいる。