第35章 最後の嘘※閲覧注意
『雪村、やっぱり椚馬は黒だった!が例の工場に連れてかれた!すぐにこっち来てくれて!』
「え?あ、おい!工場の場所どこだよ!」
九条から電話がかかってきた。
相当焦っていたのか、いつもなら冷静なあいつが俺に正確な位置情報を伝えるのを忘れたまま電話を切った。
「工場の場所って………あ、そういえば………」
工場の場所を、知っている人間がいる。
―――
「悪い、カタギなのに巻き込んで」
「いいから、早く行くぞ」
「てかなんで松野までいるんだよ」
「たまたま途中で居合わせて、三ツ谷くんから事情を聞きました。オレも連れてってください」
「………どうなっても知らねぇからな」
雪村から慌てた様子で電話がかかってきた。
が例の工場に連れていかれたが、場所がわからない。案内して欲しいと。
迷う事なく即座に承諾し、バイクで向かっている途中で千冬に会った。
事情を話すと、どうしても自分も連れていけというので仕方なくケツに載せた。
雪村と合流し、先導しつつ目的地へ向かった。
到着して、その光景を見た俺たちは
全員言葉を失った。
熱風が体にぶわっと吹き付ける。
目的の場所は、既に豪火に呑まれていた。