第35章 最後の嘘※閲覧注意
「九条…?……?どこだ……?なん………だ………これ…………」
「ッ!!助けないとッ……!!」
「行くな千冬!!死ぬぞ!!」
「中にさんと九条さんがいるかもしれないのに、ここで立ってろって言うんですか!?」
「まだ中にいるって決まったわけじゃないだろ!!落ち着け!!!」
放心状態でただ愕然とする雪村の隣で、無理にでも助け出そうとする千冬。
今にでも飛び出しそうな千冬を止めながら、過去の記憶が蘇る。
ああ、こんな光景、前も見たな。
あの時は中からが出てきて、それで、
「ッとりあえず消防に連絡………!?」
消防に通報しようとした時、
「!?雪村さん、三ツ谷くん!!アレ…!!!」
爆煙の中から、誰かが出てきた。
遠目では人影しか見えなかったが、
こちらへ近づいてくるにつれ、その姿をはっきり捉えられた。
あれは、人?
「ッ…!?!?」
その姿をみて、全身が粟立つ。
千冬の喉がヒュッと鳴り、バッと口を手で抑えたのが視界の端にみえた。