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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第33章 追憶





街中でたまたまみかけて拾ってきたボロボロの男の子は、それはそれは美しかった。

「凛くん、いる?」

DES・Rowの寮。
2日前に拾ってきた男の子は昨日からここに住むことになった。

扉をノックするが、反応がない。
しかし室内から人のいる気配はする。

「凛くーん、まだ何も食べてないんでしょ?俺とご飯食べにこう」

返事は帰ってこない。
困ったな、と内心で思いながらダメ元でドアノブを捻ると何故か鍵はかかっていなかった。

「凛くん、入るよ?」

そう言って、扉を開く。
靴を脱ぎ部屋にあがり周囲をぐるっと見回した。

パッと見人影は見当たらないが、木製のベッドに目をやると布団がこんもりと膨らんでいる。

「…えい!」
「!?」

近づいてバッと無理矢理布団を剥ぎ取ると、小さく丸まって震える彼が、怯えた目で俺をみた。

「凛くん、おはよう。もうお昼だよ」
「……ぁ」
「………人が怖いんだね。かわいそうに…」

そっと肩に触れると、大袈裟なくらいにビクリと跳ね上がった。
何があったかは聞いていないが、体はガリガリに痩せ細って全身痣や傷だらけだ。

どんな扱いを受けていたかなど、聞かずとも容易に想像できた。

「……ね、横はいっていい?」
「…へ?」

返事を待たず、驚いた様子の彼の隣に横になる。
剥ぎ取った布団も、上から被せた。

「凛くん、ぎゅってしたことある?」
「……ない」
「…………そっか」

彼は、人の温もりを知らない。

「じゃあ、俺としよう。おいで」
「ッ…!?」

彼の細く折れそうな体を、ぎゅっと自分の胸に抱き寄せる。
頭を撫でると、その髪は驚く程に滑らかだった。

「怖かったね。大丈夫。
今は笑えなくても、君の凍った心を、俺がお日様の光みたいに少しずつ溶かすから」
「……なん、で……俺に、そこまで………」
「なんでだろうね、俺もわからないや。
…ね、凛くんの顔見せてよ」
「……だめだよ…きもち、わるいとおもうから………」

嫌がる彼の頬に手を添えて少し無理矢理こちらに向ける。
鮮やかなグリーンの瞳に思わず息を飲んだ。





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