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【男主】長編【東京卍リベンジャーズ】

第32章 桃源郷





「場地さん、オレもうわかんねぇ…!」

最も尊敬する人の墓の前に座りこみ、頭を抱える。
壁にぶち当たった時、オレはよくこうして空の上にいる先輩に語りかけるのだ。

「あーあ。オレも場地さんみたいにもっとカッコよかったら、付き合ってもらえるんですかね?」

独り言は宙を漂う。


「…松野?」

「…え」

声がして振り返ると、ジュースと花束を抱える九条さんがいた。

「九条さん?何してるんすか?」
「何って、墓参り。お前の愛する先輩の」
「愛するって!そうじゃなくて、場地さんはクソかっこよくて憧れてて」
「はいはい」

そもそもオレはホモではない。
さんに出会うまでは女に恋をしてた至って普通の男だった。

でもあの人は規格外だ。
男とか女とか、性別という概念がくだらないとすら思えるほどに異次元に美しく魅力的…って何を考えているんだ。


「はい場地、いつものスプライトとコアラのマーチ」
「九条さん、場地さんと仲良かったんすか?」
「ん、まあ。東卍で仲良かったのは、こいつくらいかな」

それは意外だった。

「場地、お前の後輩が最近俺の邪魔してくるんだ。なんとかしてほしい」
「九条さん!?」
「…ぷ、もし場地がいたら『はぁ?うるせぇお前らでなんとかしろ』とか言うんだろうな」




『お前まだ告白してねぇのかよ、女々しいやつだな』
『…うるさい』
『いつまでもうだうだしてるとオレが奪っちまうぞ』
『やめろ!』
『ならとっとと告白しちまえ。男なら当たって砕けろ』
『…簡単に言う』





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