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海賊王の懐刀

第6章 魚人と人間


アーロンから解放され喜び合う村人達に水を差す様に現れたのは、この海域を取り締まっている海軍第16支部大佐ネズミ。彼はアーロンから賄賂を受け取っていたにも関わらず、アーロンが蓄えていた金品と手柄を独り占めしようとしていた。

「覚えてろ!この腐れ海賊共っ!麦わらの男!ルフィと言ったなっ!」

ルフィ達にボコボコにされ、ノジコを銃で撃った分、蜜柑畑を滅茶苦茶にした分。そして自分から奪った金を返せとナミに棒で殴り飛ばされたネズミは腫れ上がった顔を醜く歪ませ叫んだ。

「お前が船長なんだな!?忘れんな!てめぇ等、凄い事になるぞ!俺を怒らせたんだ!復讐してやる!」

文字通り尻尾を巻いて逃げ出すネズミを見つめルフィはキョトンとした顔をし首を傾げた。

「何で俺が海賊王になる事知ってんだ。」

「そうじゃねぇだろ、馬鹿だなお前。」

「そんな事よりルフィ!花子さんがまだ瓦礫の中にいるかもしれないっ!」

「何ぃー?!」

ナミから花子が牢屋に閉じ込められている事を知ったルフィは慌てて瓦礫を掘り起こす。

「花子ー!無事かぁー?!」

「花子って誰だ?」

「おかあさーんっ…!」

よく分からないがこの分だと助からないだろうとポツリと呟いたウソップの頭をナミが叩きつける。

「あんたっ!縁起でも無い事言うんじゃないわよっ!」

「いってぇー?!でもよぉ…!」

「おかあさんっ…!」

何をするんだと声を荒げるウソップにナミは瓦礫の山を必死で掘り起こすユラに視線を送る。

「おかあさんっ…!やだっ、ユラをおいていかないでっ…!」

ボロボロと涙を流しながら必死に花子を呼ぶユラの姿にウソップは気まずそうに眉を下げる。

「ユラ!大丈夫だ!花子はこんな事でくたばったりしねぇよっ!」

ぐしゃぐしゃとユラの頭を撫で笑顔を見せるルフィにぐっと涙を拭ったユラが大きく頷いた時、瓦礫の中から突風が吹き荒れた。

「っ…!ル〜フィ〜っ…!」

「花子〜!」

「おかあさんっ!」

吹き飛ばされた瓦礫の中から現れたのは、ボロボロの格好で恨めしそうにルフィの名を呼ぶ花子の姿だった。


(あなたはっ、また無茶苦茶してっ!)

(ほへんなはいっ〜!)

(悪いと思ってないでしょっ!)

(おがあさんっ…!よがっだぁ〜!)

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