第16章 ガレオン船
"空島"に行くぞと意気込むルフィ達だがそもそも、その様な島が本当にあるのか疑わしいところだがそんな事、彼等には関係ない様だ。
「なあっ!花子は"空島"行った事あるのか?」
彼女なら何か知っているかもしれない。目を輝かせるルフィ達に花子は苦笑いを浮かべ顔を横に振る。
「私も行った事はないの…。」
「そっか〜!」
花子に抱えられているユラとチョッパーは残念そうに肩を落としていたが、何故かルフィは嬉しそうにニカッと笑っていた。
「何であんた嬉しそうなのよ。」
「だって嬉しいじゃねぇか!花子の初めて!」
何とも誤解の生みそうな言い回しだがルフィは純粋に嬉しかった。花子にとってこの航海は2度目。それも海賊王のクルーとなれば殆どの海や島の事は知っているだろう。
「なあっ!花子!絶対"空島"行こうなっ!」
「ふふっ、そうね。私も楽しみ。」
ガバっと飛び付き嬉しそうに笑うルフィに花子も顔を綻ばせる。"空島"に着いたら何をするかなどと計画している彼等を微笑ましそうにロビンが眺めていた。
「ふふっ、仲が良いのね。」
「いっつもあんなだぜ、特に花子とユラはルフィと長い付き合いみたいだからな。」
げんなりとした顔でウソップが答える。そう言えば花子に飛び付くルフィを見てサンジは怒鳴り散らさないのかと、不思議に思ったロビンが視線を移すと彼は呑気に煙草を蒸していた。
「ありゃどう見ても子守りだろ。」
「あら、意外ね。」
「そうよね〜…どちらかと言うと…。」
ニヤニヤとしながらナミが視線を移す。その先にはルフィ達を見つめるゾロがいた。その表情はいつもの仏頂面ではあるが眉間の皺を深くさせ面白く無さそうにしている。
「…成る程ね。」
「花子さんも罪な女よね〜。」
きっと彼の気持ちに気付いているのは2人だけ。分かり易いゾロの態度にナミとロビンは可笑しそうにくすりと笑った。
「そ〜だ!あの船探検しようぜ!何かおもしれぇもん出てくるかも!」
「おっ!良いな!俺も行くぞ!」
「ユラも〜!」
面白そうだとルフィが声を上げウソップもそれに乗っかる。元気良く手を上げ行く気満々なユラに花子は何故か顔を引き攣らせていた。