第15章 ビビとの別れ
ナミ side
「うぅ~っ…!」
「ユラ…ごめんね…。」
泣きじゃくるユラに花子さんは凄く悲しそうな顔をして部屋を出て行った。私達はかける言葉が見つからず只、見送る事しか出来なかった。
「…おい、ユラ。」
ルフィがユラに声をかけ床に下ろす。ユラに視線を合わせているから表情は分からないけど、その声は怒っている様に低い。
「馬鹿野郎っ!」
「いっ!?」
「ちょっ!?ルフィっ?!」
あろう事かルフィはユラの頭を殴り付けた。突然のルフィの行動に泣いていたユラも驚いた様に目を見開いている。
「そんな事っ死んでも言うんじゃねぇ!」
「だってっ…!」
「だってじゃねぇ!本当の母ちゃんって何だ!?お前の母ちゃんは花子だろ!?」
ーベルメールさんだって本当のお母さんじゃないじゃない!ー
ルフィの言葉に幼い頃、ベルメールさんに言った言葉を思い出す。心無い言葉でベルメールさんを傷付けてしまった事に気付けなかった。
「お前が熱出してビービー泣いてた時、寝ねぇで看病したのは誰だ!?お前が喜ぶからって飯を作ってくれたのは誰だ!?」
「っ…おかっさんっ…。」
「お前を誰よりも大事にしてたのは花子だろっ!病気だからって花子がお前をいらなくなったって本気で思ってんのかよっ!?」
肩を掴み叫ぶルフィにユラはハッとする。本当はユラも分かっている筈…愛情を注いでくれたのが誰なのか…。
「ちがうっ…!おかっさんはっそんなことしないっ…!おかあさんっゆらのこと…だいすきだっていってくれたっ…!」
自分がしてしまった過ちに気付いたユラはボロボロと涙を流している。ふんっと鼻息荒くするルフィを一旦退かせ私はタンコブの出来たユラの頭をそっと撫でた。
「どうしよっ…ゆら…おかあさんにひどいこといっちゃったっ…!」
「ちゃんと気付いたんなら花子さんに謝んないとね。」
ゲンさんからベルメールさんがどれだけ私達の事を愛してくれていたか知り謝ろうとした時、アーロンによってそれは叶わなかった…。
「ほら!花子さんを探しに行くわよ!」
「っうん!」
涙を拭いユラは大きく頷くと大好きな彼女の元へ向かう為に部屋を飛び出して行った。