第2章 ももいろこーひー【桃】※裏有り※
「んぅ〜…」
最近ハマったゲームが出来てしまい、完全に体内時計が狂った。
今起きた時間は夜中の24時過ぎ。
昨日寝たのはほぼオールをして16時頃。
ちゃんと8時間睡眠とれてるじゃん、へへへ。
なんて思った。
そんな事を思いながらトイレを済ませると、さとみの作業部屋から少し音が漏れていた。
「…失礼しまーす」
中のさとみに聞こえるか聞こえないかぐらいの声量で一応一言掛け部屋の扉を開ける。
すると案の定、さとみがパソコンに向かって作業をしていた。
(起きたばっかで喉乾いたし、コーヒーでも淹れるか…)
いや、夜中にコーヒーなんてどうなのかと思うが、この夜中のキンキンに冷えたアイスコーヒーが、私もさとみも好きなのだ。
キッチンへ行き、ケトルに電源を入れ、濃いめのドリップコーヒーを淹れる。
そして氷のギュウギュウに詰まったロンググラスにそれを注いだ。
再びさとみの作業部屋に行き、今度は小さくノックをしてみた。
「さ、と、み、さぁ〜ん…」
「え、くろば?入って?」
「お邪魔しまぁーす」
実はさっきも覗きに来たとは言わず、二人分のアイスコーヒーをカランと音を鳴らしながら見せた。
「お、アイスコーヒーじゃん!ちょうど飲みたかったんだよなあ〜」
「編集中?」
「うん、なんか今日超ノってて、一気にストック作っちゃおうかなあって」
そう言いながら首をまわし始めるさとみ。
「ちょうど目処もついたし、くろばのアイスコーヒー飲みたいからちょっと休憩」
「うん、ここで飲む?」
「…あー、さすがに作業部屋で飲み物零したらしゃれにならんから」
「へ?」
まあ確かに精密機械の多い所での飲食はそりゃ危険だけど。
さとみが言っている意味はそういう意味ではないと直感で思った。
「ベッドも一応危ないから、リビング行こっか」
「お、おん…」
それってさ…
「ん?何くろば、そんなジトッと俺の事見て」
「いや、別に…?」
そう言った私を尻目に、同じ姿勢で作業を続けていた気だるげなさとみが私が立っているドアの方に近付いてきた。