第4章 きいろのとびら【黄】
「よっし、完璧!」
自分の部屋にある全身鏡で、服装と髪型をチェックする。
髪は元々のストレート髪を生かし、アイロンで毛先を内巻きに整えた。
そして服装は、るぅとの好きなスカート…ではなく、私らしさのあるパンツスタイルで。
その分、トップスは少し露出が多めだ。
今日は最近付き合い始めたるぅととのデートの日。
るぅとのすとぷりの活動と学校が忙しく、なかなかしょっちゅう会う事が出来ない私達。
でも、絶対にワガママは言わない。
頑張っているるぅとを好きになった。
そしてそんな私をるぅとも好きになってくれて。
るぅとの事を、心の底から応援している。
彼を支えてあげたい。
るぅととの待ち合わせ場所に15分前を目安に向かったのに、既にそこには音楽か何かを聴きながらスマホを弄っているるぅとが居た。
「るぅと〜!」
そう彼の名前を呼んでみたものの、私の声に気付く様子はない。
これはチャンスだ…
なるべく離れた所からるぅとの背後に近付き、るぅとの肩にパンッと手を置いた。
「る、ぅ、と♪」
「ひゃわッ…!?」
ひゃ、ひゃわだってさ…
可愛い…!!
「ちょ、ちょっと。ビックリさせてないでよもうッ…!」
「アハハハッ!ごめんごめん、待たせちゃった?」
「ううん、僕も今きたとこ」
そう言いながらイヤホンをカバンの中にしまうるぅと。
嘘だ、多分もっと前からここで私の事を待ってくれていた。
さっき肩に触った時に、結構暖かかったもん。
建物の中に入ってくれてても良かったのに、私が見つけやすいように外で待っててくれたんだ…
「今日はどこ行く?」
「くろばはどこ行きたい?」
「私は…るぅとの行きたいところ!」
「えぇーと、じゃあ、とりあえずお茶しながら一緒に決めよっか?」
「うん!」
るぅとと一緒に居られるだけで、私はどこでも良いんだけど…
「あ」
「ん?どしたの?」
「行きたいとこ、ある」
「え、どこどこ?」
そう。
私の行きたい所は…
「るぅとの家」
「…却下です」
「えぇー!」
速攻で断られた。
「なんでいつも駄目なの?まあ、すとぷりメンバーしか、るぅとの家に入った事あるなんて話は聞かないけどさ…」
「当たり前です。くろばが居るのに、メンバーと家族以外の人を家に入れるワケないでしょ?」