第3章 むらさきいろのやきもち【紫】
「はい、どうぞ」
「これ、わざわざくろばが…?」
「うん!なんか最近なーくん元気ないかなーなんて思って。だから気分転換にここに連れて来たんだけど、それだけじゃ面白くないから、プチサプライズ!」
くろば…
なんだか目頭が熱くなった気がして、くろばに渡されたフルーツティーに口をつける。
「ん、美味しい!」
フルーツティーと言うわりに、ハーブも入っているせいか、確かにそんなに甘くない。
フルーツの甘みとハーブの爽やかさが絶妙にマッチしていて、本当に体がリフレッシュしている感覚になる。
「良かった!あ、それとこれも…」
そう言うと、再びバッグの中から可愛らしいお弁当箱が出てきた。
「へ、も、もしかしてお弁当…?」
「うん!あ、でもめちゃめちゃ簡単で無難なやつだよ…!」
そう言って開けたお弁当箱の中には、色とりどりの一口サイズのサンドイッチが敷き詰められていた。
「うわあ、美味しそう!しかも可愛い!」
「ふふっ、なーくん女の子みたい」
「何言ってんの!れっきとした男の子ですよ俺は!」
そうそう、さっきまで変な事考えてるぐらいには至って健康な男子です。
「じゃあ、たくさん食べてね?あ、でも無理はしないで」
こういう気のつかえる所が、くろばの良い所だ。
まあ、たまに気を使いすぎてる感じがして心配になっちゃう時もあるけど。
「じゃあ早速いただきます」
「あ、なーくん食べる前に手拭いて手」
そう言ってくろばからお手拭きシートを渡される。
え、なんなの、もうこんなの彼女じゃん。
「あ、ありがとう…じゃ、改めて」
サンドイッチを一つ手に取り、口に含む。
「ん、美味しい!」
「もう。なーくん、本当美味しいしか言わないんだから」
「いやいや本当に!」
「はいはい。じゃあ私もいただきまーす」
そう言ってくろばもサンドイッチを食べ始める。
俺は一口サイズというのもあって、一気に食べたけど、くろばはそのサンドイッチを小さく齧って食べていた。
か、可愛い…
小動物みたい。
いやいや、てか俺今日ヤバくない?
さっきから変な事しか考えてなくなくなくない?