第1章 *1*
「やれやれ…もう日付が変わっちゃったか…」
『そうですよ。そろそろお休みになったほうがお体のためではありませんか?』
「そうだねー…ん゛ーー…目がしょぼしょぼする」
彼が六代目火影を務めて二年。
先代の綱手様の時代に比べ、他国と積極的に交易し、最先端の技術や文化を取り入れることで木の葉の里は見違えるほど豊かになった。
日々の業務も、大量の巻物などの紙媒体からデータ化され、仕事の主はパソコンを使ったデスクワークになる。
おかげで他の影たちや里の忍が管轄しているあらゆる部署との連絡はスムーズになり、楽になったといえば楽になったのだが、なにせブルーライトの浴びすぎと、目・肩・背中の凝りという大きな問題を、六代目火影は抱えていた。
少しでも暇があれば温泉に行きたいと言い、束の間のリフレッシュを楽しむ…それが今の火影、はたけカカシだ。
「目薬、どこやったっけ?」
『私が持ってます。』
その六代目火影の補佐を務めるのは私。
目頭をクッと押さえる彼の隣で胸ポケットから薬を取り出した。