第3章 白に染まる
街の中心からやや離れた花屋では今日も彼女がかいがいしく植物の世話をしている。
リアは幼くして両親に先立たれてからずっとここで両親の店を護っている。先代からずっと変わらない店の柔らかい空気と彼女の穏やかな笑顔は常連だけでなく、この街に移り住んできた人達の日常をも癒してきた。
そんな花屋ではここ最近白い花が増えてきている。その理由はいつからか毎週欠かさずにやって来るようになった青年だった。
今日はその青年がやって来る日だった。
「こんにちは~!」
爽やかな笑みと共にドアのベルを鳴らして入ってくる。それに気づいたリアはふわりと微笑んで挨拶を返す。
「こんにちは、スティングさん。今日も白いお花ですか?」
「ああ、頼む。」
「今日は百合が綺麗に咲いてくれたんです。あとマーガレットも。」
そう言いながら少し荒れた手で丁寧に花の処理をしていく。小さくて繊細な手がするすると花を撫でるように余分な葉や茎を取り除いていく様を見るのがスティングは好きだった。