第19章 カウンター
大袈裟なまでに肩を弾ませたリアを見ると効果はてきめんのようで、俺の胸をぐっと押して叫ぶようにして白状した。
「分かったわ!ラクサスの匂いが無いと寝られないのよ!ほら、いつも…一緒に、寝てる…から。」
耳と首、そして顔まで真っ赤にして、最後までぼそぼそと言い切るリア。普通の奴なら聞き取れねぇだろうが、俺は滅竜魔導士だ。最後の一言までしっかり聞こえた。
確かに同じ家に帰ってるし、寝てる場所も同じだから、ベットに俺の匂いとやらが付いててもおかしくねェ。
―クソ、やられた
自分の眉間にぐっと皺が寄るのが分かった。俺のこの顔が照れている時の顔だってこともリアにはお見通しなわけで。
「…何でラクサスが照れるのよ。」
「うるせェ。」
「はぁ?…ンン!」
何も塗っていなくとも紅いその唇に噛みつく。訳が分からず目を白黒させるこいつを見て少し落ち着いた。
「いきなり、何すんの。」
「俺の匂いがねェと寝られないんだろ。帰るぞ。」
ええ、と戸惑うリアを抱き上げてコートを拾い上げる。
「待ってこれ、帰っても寝られないやつ!」
「よく分かってんじゃねェか。」
大方、俺の眼がギラついてたんだろう。ナニかを察したリアが腕の中で暴れるが、そんなの何の障害にもなりゃしねぇ。
―煽られた分はキッチリ返す