第13章 望むのは
「…ふぅっ。」
「おいおい、もうギブか~?」
「はぁ、はぁ…、長いのよ…。」
「お前体力ねぇもんなぁ。ちっせぇし。」
「貴方が大きすぎるんじゃないの?」
確かに私は低身長だが、彼が大きすぎるのだ。今だって彼がちょっと背を屈めて、私が精一杯首を上げないとキスできない。
大きすぎる身長差は不便もあるが、私は意外とこれが好きだった。簡単に私の身体を一周してしまう腕に抱かれていると、彼に包み込まれているようで安心する。
「ビックスロー。」
「ん?何だぁ?」
「大好き。」
「…言ってくれるじゃねぇか。俺もだ。」
いつの間にか人形たちはどこかへ行ってしまったみたいだ。彼の唇を受け入れていると、突然浮遊感に襲われた。
彼はキスしたまま私の身体を抱え上げて歩き始めた。
「…んむ。うわっ、どこ行くの…。」
「どこってそりゃ、天国だよ、リアチャン?」
ああ、これは今日は彼の目論見通り、独占されてしまうんだ。まだみんなにもらったプレゼントも玄関に放りっぱなしだし。でも、どんなプレゼントよりも彼が私を求めてくれることが嬉しかった。
「ぷはっ。…んっ。」
「誕生日おめでとう、リア。」
長い長いキスが終わり、はだけた胸元で彼は心底嬉しそうに呟いた。そのまま行為が進められ、私は終ぞ彼にその返事を返すことは出来なかった。
翌朝、目が覚めると隣には無防備な彼の寝顔があった。いつも兜をかぶっている彼のこんな顔を見られるのは私だけだ。
ふと、無数の赤い華が散っている胸元にきらりと光るものがあることに気付いた。彼からの贈り物だ。どうしようもなく緩む頬をそのままにして、右手で彼の頬を支えて優しくキスを落とし、昨日は返せなかった返事を囁いた。
それから私の誕生日は毎年のように家で二人で過ごすことになって、友人たちと彼の間でいざこざがあったことを私は知らない。