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フェアリーテイル 【短編集】

第13章 望むのは


 妖精の尻尾のテーブルで昼食を摂っていると友人の元気な声が響いた。

「「「リア!!おめでとー!」」」
「ルーシィ、カナ、レビィ!ありがとね!!」
「はい、これプレゼント!」
「私からはこれ!」
「ホラ、あたしのもあるよ。」
「3人とも用意してくれたの??大好き!!」

 かれこれ5年以上の付き合いになるカナは毎年プレゼントを交換し合っていて、それを見たルーシィとレビィも同じように誕生日を祝い合う様になった。

 ミラはデザートを用意してくれたし、ナツとグレイはどっちが私の気に入るロゴを魔法で作れるかで喧嘩になっていた。エルザやマスター、ジュビア、ラクサス、フリード、エバ…数えだしたらキリがないくらいの人たちにおめでとうと言ってもらった。

 その日は本当に幸せな1日になった。でも、ただ一つ、恋人のビックスローの姿が朝から見えなかった。いつもは昼前になるとひょっこりギルドに顔を出して、私の背中にリア~ってのしかかって来るのに、今日は来ない。

 気になってエバに聞いてみたけど、そういえば朝から見てないわねって、それだけで居場所に関する情報は得られなかった。

「いつもはくっついてくるのに…なんなの。」

 家までの帰り道をプレゼントの入ったカバンを背負いながらとぼとぼ歩く。ギルドのみんなに祝ってもらえるのは幸せだし、嬉しいけど…私が一番望んでる人は、来なかった。

 このままビックスローの家まで催促しに行ってやろうかとも思ったけれど、誕生日を忘れられていたとしたらそれはそれで立ち直れない。

 家に辿り着いて玄関のカギを開け、ノブを回すと中から物音がした。ひやりとする。いつでも魔法を放てるように神経を集中させて気配を殺して室内に入る。―と

「リア!リア!」
「カエッタ!カエッタ!」
「オイワイ、オイワイ。」

 奥の部屋から続々と出てきたのはビックスローの人形達。ぎょっとして口をあんぐりと開ける。

「貴方達…ってことは、うっ!」
「よォ~、リア~。遅かったじゃねぇか。」
「ビックスロー!」

 彼には確かに合鍵を渡してはいたが、彼がここに無断で来ることは滅多になかった。てっきり合鍵を渡したら知らぬ間に悪戯でもしてそうなのに、と思ったのを覚えている。








 




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