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フェアリーテイル 【短編集】

第6章 湿度 90%→20%


 ナツに限ってそういう意図ではないと思うが、そんなこと満面の笑みで言われたら、こちらも気恥ずかしい。しかもレオやエルフマンにまで聞かれてる。

「…その言い方は誤解を招くわよ。」
「何のだ??」
「…リアに恋愛感情を持ってるってとられてもおかしかねぇってことだ。」
「ああ!そうか!」
「はぁ、びっくりさせないで。」
「その通りだ!!」

「…は?」
「だから、俺は最初からそういう意味でリアが大事だって…もがっ!」

 慌てて彼の口を塞いだはいいけど、どうしよう。グレイとエルフマンはまだ凍結中、レオは心なしかニヤついてる。こいつは後で一発殴っておくとして、まずはナツと二人で話せる場所に行こう。

 
「…で?」
「何だよいきなり。こんな広場に連れてきたりして。」
「あんたがみんなの前で堂々とあんなこと言うからでしょ?」
「ダメなのか?嘘ついてるわけじゃねぇぞ?」
「…ッ!」

 そんな真っ直ぐな目で見られると何も言い返せない。そして顔に熱が集まる。彼は恋愛のことになんて興味がないのだと思ってずっとこの気持ちに気付かない振りをしてきた。気付かない内に身に着けるものには桜色が入るようになった。

「…もう一回、言ってくれる?」
「リアが大事だ。」
「私も、ナツが大事よ。」
「ほんとか!?」
「うん、ずっと前からね。」
「ぃよっっしゃぁ!!」
「うわっ!」

 腰に腕を回されて抱きしめられる。そしてそのまま回り始めてしまった。こんなことをする人だとは思わなくて、状況が呑み込めない。でもちょっと気持ち悪くなってきた…

「目が回るから!!」
「お?ごめんごめん。」

 回るのを止めても私の両足は空中に浮いたままで、いつもは見上げることしかない真っ直ぐな目を見下ろす形になる。その目がキラキラと光っているのをみて、吸い込まれそうになる。

 喉がカラカラだ。さっきまで蒸し暑いと思ってたのに、今は体の水分が全部出て行ったみたい。
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