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フェアリーテイル 【短編集】

第6章 湿度 90%→20%


 暑い。とにかく湿気が鬱陶しい。昨日の夜降った夕立のせいで今日は蒸されているような気候になってる。それに加えてギルドの中ではいつもの男達が喧嘩をしているせいで余計に暑苦しい。

 チラリと目をやると桜色と黒、白、それになぜか茶色も…また勝手に精霊界からやってきたのかしら。っていうかナツのせいだわ、こんなに暑いのは。ナツの近くはいつも体温で蜃気楼が立ってる気がする。

「暑苦しいんだよてめぇ!!」
「なんだと、グレイ!エルフマンの方がうぜぇだろうが!!」
「うぜぇって言ってねぇだろ!!」
「うざいことに変わりはないと思うよ。」

「エルザが仕事でいないからって、なんでこんな暑苦しい喧嘩できるわけ…。」

 そう呟きながらすっかり氷が解けて薄くなってしまったオレンジジュースを飲む。糖分が高いのか喉に甘さが纏わりついて来て、それすらも鬱陶しい。

「イライラしてるね、リア」
「レオ、喧嘩してたんじゃなかった?」
「さすがに暑くなってね。エルフマンも向こうで伸びてるし、ナツが魔法を使い始めたから。」
「あーあ、余計に暑くなるじゃないの…。あいつの炎も何か違うことに役立てればいいのに…って、そうだ!!」
「なんだい?」
「いいこと思いついた!」
「??」

「ナツ~!!」
「なんだぁ?」
「ナツの魔法でこの辺の湿気蒸発させられないの?」
「ナツにそんな器用なことできるかよ。」
「なんだとグレイ!やってみなけりゃ分かんねぇじゃねぇか!ところでどうやるんだ?」
「知らねぇよ!!」
「んー、空気を燃やす感じ?」
「適当なこと言うなよ…」
「さすがリア!やってやる!!」

 そう言ってナツは体温を上昇させる。でもそんなことをすれば周りが焼けるような暑さになるのは当然で。

「あちぃぃぃぃ!!ナツ!やめろ!中止だ!」
「なんでだよ、グレイ。まだ空気は燃えてねぇぞ!」
「おめぇが適当なこと教えるから!!」
「ごめんってー!!!ナツ、止めないと死にそう…」

 そう言った途端熱気が冷めていく。

「なんでリアの言うことは聞くんだよ!」
「だってリアが死ぬのは嫌だ。」
「え?私?」
「そう言えばナツ、お前リアのことになるとやたら慎重だよな。」
「だってリアは俺にとって大切な奴だからさ!!」
「「なっ!?」」
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