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鯨人替え歌

第1章 野武士


野武士で強盗と花束の替え歌(315視点)

ある朝、俺は気付いたんですが
思ったよりもお金がない
お金が完全にないわけではないけど
ボートレース場は生活圏外
そうして僕は思ったんですが
田舎の大金持ちの家なら徒歩十分
何とかなると思った 俺は包丁を持った

何にも満たされないなら
行こう、俺らで全部奪うのさ
紙みたいな理性なんてほら、飛ばしてしまえ
神様、本当にこの世の全部が人に優しいんだったら
少しくらいは俺らにくれたっていいじゃないですか

ある昼、俺は思ったんですが
死にかけのお前に花をあげたい
お金が足りないどころか無いから
花束は予算圏外
そうして俺は気付いたんですが
隣の花屋は定休日
盗めばいいと思った
俺は信号を待った

笑え、真面目な顔で澄ましてる
実はお前もまともじゃないのさ
金にならない常識なんてもう、忘れてしまえ
他人の痛みが他人にわかるかよ
百年経てば誰でも骨だ
今日くらいは俺らも間違っていいじゃないですか

ある夜、俺はわかったんですが
これから先には夢が無い
折角救ったお前が居なくなるなんて
考えたこともなかった
花屋の主人は優しかった
けど盗んだことすら咎めない
強盗と花束に何かの違いがあるのですか
それ、何かが違うのですか

何にも満たされないなら
行こう、俺らで全部奪うのさ
塵みたいな理性なんてほら、飛ばしてしまえ
神様、本当にこの世の全部が人に優しいんだったら
少しくらいは俺らにくれたっていいじゃないですか
少しくらいは俺らを裁いたっていいじゃないですか

ある朝、俺は気付いたんですが
思ったよりも世界は広い
努力が足りないわけでもないのに
何にも実らず圏外 ふられて思ったんですが
安心なんて何処にも無い
終わった方が未だ増し ボートレースがくだらなく思えた
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