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鯨人替え歌

第1章 野武士


夜に駆ける(徳吉、315視点)

沈むように溶けていくように
二人だけの空が広がる夜に
吉村『さよなら』 だけだった その一言で全てがわかった
日が沈み出した空とお前の姿 フェンス越しに重なってた
初めて会った日から 俺の心の全てを奪った
どこか儚い空気を 纏うお前は 寂しい目をしてたんだ
いつだってチックタックと 鳴る世界で何度だってさ
面白くない 心無い言葉 引退しろ うるさい声に
涙が零れそうでも (親に狂わされて見つけられなかった) 在り来りな喜びきっと2人なら見つけられる
多忙な日々で笑えないお前に 思い付く限り面白い毎日を
明けない夜に落ちてゆく前に 俺の手を掴んでほら
忘れてしまいたくて閉じ込めた日々も 抱きしめた温もりで溶かすから
怖くないよいつか日が昇るまで 二人でいよう
お前にしか見えない 母親を見つめるお前が嫌いだ
見惚れているかのような恋するような そんな顔が嫌いだ
信じていたいけど信じれないこと そんなのどうしたってきっと
これからだっていくつもあって そのたび怒って泣いていくの
それでもきっといつかはきっと俺らはきっと 天下をとれるさ信じてるよ
もう嫌だってやめたいんだって がむしゃらに差し伸べた俺の手を振り払うお前
もう嫌だってやめたいよなんて 本当は俺も言いたいんだ
ほらまたチックタックと 鳴る世界で何度だってさ
お前の為に用意した言葉どれも届かない
吉村「終わりにしたい」
徳井「終わりにしたい」だなんてさ 釣られて言葉にした時
お前は初めて笑った
傷ついた心 笑えなくなっていた 俺の目に映るお前は綺麗だ
明けない夜に溢れた涙も 吉村の笑顔に溶けていく
残せない結果にくじけていた俺をお前は優しく終わりへと誘う
沈むように溶けてゆくように 染み付いた霧が晴れる
忘れてしまいたくて閉じ込めた日々に 差し伸べてくれた吉村の手を取る
涼しい風が空を泳ぐように今吹き抜けていく 繋いだ手を離さないでよ
二人今、夜に駆け出していく
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