【ハイキュー】私の苗字は角名になるのか宮になるのか
第24章 仙台より(帰宅)
「一静さんにもよろしくお伝えください」
「ありがとうございました。気をつけて」
「うん。じゃあね~」
自分の分のカップを手に取って、
私たちに手を振ってくれるあおいさんに振り返す。
あおいさんが出て行くまで
視線でお見送りして
そして、たった今まであおいさんが座っていた席、
私の目の前に倫太郎が座る。
「どうする?ここで話す?それとも帰る?」
「別に話すこと、何もないし」
「はそうかもしれないけど、
俺はめちゃくちゃあるんだけど」
「………気のせいじゃない?」
たぶん、
ううん。きっとそう。
「………どうかな?
とりあえず俺の話を聞いてほしいし、質問もいろいろあるんだけど。
で、それを聞くのはここがいい?家がいい?」
さっきまでお互いケンカ腰だったけど、
倫太郎の声が柔らかくなる。
………なんなの。
無言の私を待つ間、倫太郎が私の前にあるカップを手に取り
そして残りのコーヒーを飲み干した。
………ほんとなんなの。
「ここ………」
「じゃあ」
「じゃない方がいい」
「帰ろっか」
決まれば早いと
本来であれば私のものであったカップを
まるで自分のものかのように手に取って
そしてダストボックスへ捨てに行く倫太郎に、渋々腰を上げる。
カップを捨てた後は、このままひとりで帰る気なのか?というくらい
出口までスタスタと自分の歩幅で歩いていって。
だけど結局そこで待っていてくれていて。
店内から出るにはそこに向かうしかないから、
しょうがなく足を前に出した。
(2021.7.3)