【ハイキュー】私の苗字は角名になるのか宮になるのか
第2章 はじまり
「………そうだね」
中学生と高校生の私たちにとって
200kmという距離は、
果てしなく遠かった。
「でも、あの時断ってなかったら、何か違ったのかなって。
遠くても、ケンカしても。
それでも高校生の倫太郎と一緒にいれたのかなって」
ずっと節目がちではあったけど、
ギュッと目をつむって。
ハッと短く息を吐く。
「…………後悔してる」
本当に
「だから、今日連絡くれて嬉しかった。
これからはまた、たまに会える?」
あの頃みたいに毎日じゃなくていい。
たまにでいい。
それでいいから
また、会いたい。
「たまに、でいいの?」
「え?」
「さっき "後悔してる" って。
過去形じゃなかったけど?」
「だって、そうだもん」
「もう中学生じゃないよ?」
「知ってる」
「俺が思ってる好きと一緒?」
「そうだよ」
目の前に座っていた倫太郎が
私の隣に移動してくる。
四年ぶりに、視線が交わる。
「?」
「なに?」
「俺のこと、好き?」
「うん」
「ちゃんと男として?」
「うん」
倫太郎にしっかりと見据えられる。
私も負けないように。
もう、そらさない。
「…………キスして、いい?」
「………うん」
「もう、戻れなくなるよ?」
「うん」
元々私に
戻る場所なんてない。