第3章 白ひげの船で
軽く聞き流していたマルコは、思わず自らの耳を疑った。
「は!?いや、8歳って…。もう流石に死んでるだろい!」
「縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよ!!!」
胸ぐらを掴んできたエースの表情を見る限り、嘘では無さそうだ。
「俺だって、本当はそんな気もしてんだ。でも、信じたくねぇんだよ…」
崩れるように床に座り込んだエースに、マルコはゆっくりと声をかける。
「エース、お前の妹の生死は俺には分からねェ。だがな、もしお前の妹が死んでたとしても、もうお前は1人じゃねェんだよい。俺たちがいる」
な、そう言い微笑むマルコの言葉に、エースはいつものように笑った。
「……だよな。悪りぃマルコ、当たっちまった」
「気にすんなよい、こんくらい。……お前が最初に来た時は、もっと酷かったしねい」
「だーーー!!!おいマルコ!やめろよ!」
「ははは、だって事実だしねい」
軽口を叩きながら去っていく2人の男の背中を、夕日が静かに照らしていた。