第8章 大切で残酷な暖かい過去
その言葉が許せなくて男を掴んでいたルシアンが舌打ちをし
ルシアン
「おい…巫山戯んなよ。自分の都合で苦しめた挙句、命奪ってるんだから…反省しろ」
怪しい男
「……っ」
悔しそうに顔を歪める男を引っ張りルシアンは部屋を出る。
それに続く様にユリスはレティシアを抱き上げて、同じように部屋を去りヒガンバナに戻った。
その日、体験した恐怖と苦しさをレティシアは絶対に忘れないだろうと思った。
幼いながらに強い覚悟を持ち始めたレティシアは、その才能を発揮して任務に欠かせない存在として、飛躍的な活躍を見せる。
少女の活躍に感心する者もいれば、気に入らない者もいるわけで…
ある日、ルシアンとは任務が別で違う先輩と組んだ時の事。
殆どレティシアの活躍で犯人を捕まえ基地に戻ろうとした時…組んだ先輩は上記での後者で、幼いレティシアが飛び級でここに居るのが許せない女性で
先輩
「貴女、確かに優秀だけど…どうせ、ユリス補佐官のコネで入ったんでしょ。娘贔屓みたいだし」
レティシア
「………」
先輩
「だっておかしいもの。貴女みたいな幼い子が基地にすぐ配属されるなんて。私は2年かかったのに」
レティシア
「…それは、貴女が弱いからでしょ」
先輩
「は?」
レティシア
「貴女が弱くて入るの遅くなったの私のせいにして、八つ当たりしないで。…ユリスは私が弱かったらシンメに行けなんて、言わなかった」
自分よりも年上の先輩に堂々と言い返す少女の態度が、気に入らないのか奥歯を噛み締める。
幼い少女に腹を立てて言い返そうとしたがレティシアはそれよりも先にどこかへ消えていた
─ ゼフィランサス第一室 ─
ユリスが頬杖をついてマウスを動かしていると、部下が声を掛けた
部下
「ユリス補佐官、小さなお客様です」
ユリス
「ん?…小さな客?」
何の事だと不思議に思ったが部下がズレた背後には、レティシアとジルヴァが立っていた。
突然の訪問に驚いたもののユリスは椅子から降りて少女を見る
レティシア
「ユリス」
ユリス
「どうしたんだ、お前任務は」
レティシア
「もう終わった」
そう返される言葉に、そうかと返しはするも未だ訪れた理由は分からずユリスの少し離れた隣に居るエドゥアルも首を傾げている