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Smile Bouquet

第8章 大切で残酷な暖かい過去




ユリスはその時の事を思い返す。
その場には共に呼ばれたレティシアも居た



メディ
『君も知っているね。少女連続殺人事件』

ユリス
『嗚呼』

メディ
『そこでお願いなんだが…レティシアくんを囮に使うのはどうかな』

ユリス
『は…?』


彼の提案をユリスはその時、耳を疑った


メディ
『彼女は優秀だし、君の娘だから大丈夫だろう』

ユリス
『大丈夫…って、そんな危ない事件の囮なんて』

メディ
『良いかい、ユリスくん。私はね…お願いをしているんだよ』

ユリス
『………』

メディ
『それに…このまま、また市民から被害が出たらどうする』

ユリス
『…それは、レティシアなら守護官で囮だから殺られても良いっつー事か』

メディ
『そんな事は言ってないよ。ただ、君の娘だから殺られる事は無いから大丈夫だと思っているだけだよ』


どう考えてもレティシアの命を軽く見ている様な言い方にしか聞こえないユリスは、鋭くメディを睨む。
だが、メディには効いていないのか笑みを浮かべたまま沈黙が続く


レティシア
『…何すれば良い』


その沈黙を破ったのはレティシアの一言だった。


ユリス
『おい待て。まだやらせるとは言ってない』

レティシア
『私がやれば、誰かが…怖い目に遭わなくて済むって…事でしょ?違う?』

メディ
『違わないよ。レティシアくんの言う通りさ』


レティシアの言葉にユリスより先にメディが返事をする。
そして、ユリスは大きく溜息を吐き出し


ユリス
『はぁ…レティシアを囮にすんなら、俺はレティシアの1番近くに自分を置く。じゃなきゃ許さんし、やらん』

メディ
『嗚呼、良いとも。君の力が必要だからね』





にこやかに笑っていたメディの発言に未だユリスは苛立っていた。
メディは基本的に温厚で部下にも優しい。
だが、上に立つものとしての決断力や…時に必要になる冷徹さを持ち合わせているメディは最高司令官に相応しい。
そうは思っても自分の娘の命を軽んじられた事が気に障って仕方がなかった



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