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Smile Bouquet

第8章 大切で残酷な暖かい過去




レティシアがヒガンバナ基地に所属してから、ある日の事─



ユリスと彼の部下1人がヒガンバナ基地に訪れた。
突然のユリスの訪問に驚いたレティシアだったが、報告書の書き方を教えてくれていたルシアンの隣を離れ、ユリスの元へ駆け寄りそのまま抱きつく。
その様子を緊張し立ち上がっている守護官たちは、ただ見詰める


ユリス
「おう。ちゃんとやってるか?」

レティシア
「今ルシアンに報告書の書き方、教えてもらってた」

ユリス
「そうか」

レティシア
「でも、本当は本部が良かった」


ゼフィランサスとヒガンバナだと基地の場所が違う為、会う機会は家しかないのだ。
その為、レティシアの最近の口癖は専ら上記のものになっていた

そんな少女の頭を撫でつつも、ユリスの表情は浮かない。



ルシアン
「ユリス直々っつー事は、何か重要な任務か?」

ユリス
「はぁ…ちょっと、俺の代わりに説明頼むわ」

部下
「分かりました、仕方ありませんね」


説明放棄し娘と小型魔獣と戯れ出すユリスに、部下は小さく息を吐き出してから全員へ目をやる。



部下
「ここ最近、少女を狙った殺人事件が起きています」



"殺人事件"というワードを聞くとその場の空気が一気に張り詰める。



部下
「既に3人の幼い命が奪われました」

全員
「………」

ユリス
「そこで、だ。司令官が俺にお願いという名の命令をしてきた」


部下の言葉に続けてユリスが後頭部を掻きながら立ち上がる。
続きが気になる、その場の全員の視線がユリス集まる


ユリス
「レティシアを囮にしたらどうか、ってな」

ルシアン
「は…っ?」


ルシアンだけでなく、全員が衝撃を受けて驚く。
まだ入ってきて間もない以前に幼い少女を、殺されてしまうかもしれない囮にするのなんて誰だって躊躇する。
メディの言葉はお願いする口調でも、ユリスが言った通り命令なのだろう。
それも、付き合いが長いユリスだから分かるもの



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