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Smile Bouquet

第8章 大切で残酷な暖かい過去




レティシアが6回目の誕生日を迎えた日の夜─…



ユリス
「ほら。その火がついてる蝋燭を消すんだ」


いつもの様にユリスの家に集まったエドゥアルとルシアン達が見詰める先には、6本の蝋燭が立ったケーキを前にして目を真ん丸にしているレティシアが居た。

ユリスに言われたそれに少し経って頷き、ふっと火を吹き消す



エドゥアル
「おめでとう」

ルシアン
「おめでと、レティシア」


拍手をしながら祝いの言葉をかける2人を見てレティシアは嬉しそうにし、ユリスを見る


ユリス
「おめでとう、レティシア」


魔法が発動するまでは朧気だが、誕生を盛大なパーティーを開いて祝われた記憶があるものの殆ど薄れているため沢山の人に祝われるのは初めてみたいなものだ。

その後は誕生した日を祝ってくれたのは4歳から一緒に居るジルヴァだけだったし、勿論それも嬉しかった。
だが、6歳を迎えたこの日…少女は祝福に触れ初めて生まれてきて良かったと思えた。

蝋燭が立ったケーキは、レティシアにとって初めての体験で幸せ以外の何でもなく


レティシア
「ありがとう」


少女が味わう初めてを沢山の思い出で飾ってやろうと、部屋には賑やかな声が暫く続いた─…










ユリス
「いやー、すっかり忘れてたわ」

エドゥアル
「はぁ…お前らしいというかなんというか…、お前を信じた僕も馬鹿だったと言うべきか」

ユリス
「良いだろ、ちゃんと俺が見てたんだから。それに俺の娘は失敗したり悪さしたりしねぇから"魔法許可書"なんか無くても良いんだよ」

エドゥアル
「全く、すっかり親バカが板についてきたな」


呆れた様に額を抑えているエドゥアルの言葉にユリスは自慢げにする。


エドゥアル
「良いから、さっさと書け。保護者様」


そう促されたユリスは"魔法許可書"にレティシアと自分の名前を記入していく。
この世では魔法が使える者は、免許証のような魔法許可書が必須になってくるが、3歳で育児放棄されつつ魔法を隠したかった両親がレティシアの魔法許可書なんて出している訳もなく。

それをつい最近、思い出したユリスはやっとレティシアの魔法許可書を提出した



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