第8章 大切で残酷な暖かい過去
ユリス
「何だ、どうした」
レティシア
「…何の話?」
ユリス
「ルシアンが凄いなって話」
レティシア
「私も、ゼフィランサス?…入りたい」
3人は突然のレティシアの発言に驚き、少女を見る
エドゥアル
「レティシア、ゼフィランサスに入るにはまずシンメに入らなきゃいけないんだよ」
レティシア
「じゃあ、そこ…入る」
ユリス
「シンメに入るには、歳が足りてねぇよ」
少女の言葉は尽く否定され、レティシアは拗ねた様に唇を尖らせる
レティシア
「入りたい。…だって、入ったら…ユリスに褒めてもらえるんでしょ?……それに、もっと一緒に…居れるでしょ?」
エドゥアル
「え、それで入りたいの?」
レティシア
「うん。…ユリス、メディって人に…頼んで?」
エドゥアル
「え…」
以前ルシアンに話していたのを思い出したレティシアは、ユリスを見上げながら首を傾げる。
その発言に一瞬、3人は固まったもののユリスが笑みを吹き出す
ユリス
「流石は俺の娘だな」
エドゥアル
「…本当にそう思うよ」
ユリス
「7歳になるまで我慢しろ」
レティシア
「どうして?」
ユリス
「お前はまだ弱い。その歳になるまで俺が色々、教えてやる」
レティシア
「強くなったら…ユリスは褒めてくれる?」
ユリス
「嗚呼」
彼の返事にレティシアは嬉しそうにする。
少女は育ての親であるユリスに懐き、常に彼に褒められる事を求めていた。
その翌日からレティシアはユリスから本格的に魔法や体術、剣術…様々な事を教えてもらっていた。
ユリス
「レティシア、俺たち魔法使いが何故ぽんぽん魔法を使えるのか分かるか?」
レティシア
「…分からない」
ユリス
「万物にはマナが宿ってんだ。そのマナの源である結晶を、ゼフィランサスが管理してる。それがある限り俺達は魔法がぽんぽん使えんだ」
レティシア
「その、マナの結晶…が無くなったらどうなるの?」
ユリス
「魔法の威力や効力が薄くなる。けど、そん時は…万物に力を借りるんだ。万物っつーのは人とか木とか、何でもな」
魔法を使える仕組みを教えてもらうとレティシアは、そうなんだ…と納得して見せた