• テキストサイズ

Smile Bouquet

第8章 大切で残酷な暖かい過去




エドゥアル
「僕だって殴ってやりたいくらいだよ。…でも、お前はここに居たら駄目だろ。レティシアが目を覚ました時、お前が居なかったら…あの子は不安になる」

ユリス
「エドゥアル…」

エドゥアル
「分かったか?」

ユリス
「…嗚呼。悪いな、いつも」

エドゥアル
「はは、今に始まった事じゃないだろ。…ほら、行きなよ」


ユリスはエドゥアルの促しに頷くも、1度男に近付き


ユリス
「良いか。あいつが負った痛みは…てめぇ等の倍だからな」


そう吐き捨てて彼は部屋から出て行った。

ユリスは帰宅する途中で帽子屋に寄り、その後に食べ物を買ってから玄関の扉を開け、寝室に入るとレティシアはまだ規則正しい寝息をたてていた。
それを見てユリスは安堵の息を吐き出す


ユリス
「ジル…お前の飯買ってきたが、レティシアが起きてから食うか?」

ジルヴァ
「……ウゥ…」


未だ心配そうにレティシアに寄り添っているジルヴァにユリスが声を掛けると、ジルヴァは頷く様に瞬きをした



ユリス
「お前、自分責めたりすんじゃねぇぞ?」

ジルヴァ
「…にゃう?」

ユリス
「誰も…予想出来なかったんだ。俺も出来なかった」


言葉は殆ど伝わっていない筈のジルヴァの頬を人差し指で撫でながらベッドに頬杖をついて話し掛けるユリスは、自分の不安を紛らす様に彼に話し掛ける。
だが、ジルヴァは理解しているのか…それともユリスの気持ちを察してか、頬を撫でる手に額を擦り付ける



レティシア
「……ん」

ユリス
「…っ…レティシア?」


少女の眉間に僅かにシワが寄り小さく動けば、ユリスはレティシアの顔を覗き込む。
閉じていた瞼がゆっくりと開き、ぼーっとしていた紫の瞳が覗き込んでいるユリスを捉える



レティシア
「ユリス…?」

ユリス
「嗚呼。…大丈夫か?」


みるみるレティシアの目が大きく開かれると、その瞳を涙が覆うのと同時に少女は起き上がってユリスに抱きつく。
その行動に一瞬、驚いたもののすぐに優しく包み込んでやる



/ 398ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp