第30章 貴方を超えて
あの後ぎゃあぎゃあと騒ぐノアと無言の圧をかけるフェリックスを無理矢理、連れて街へと帰ってくる
レティシア
「酷いな…」
ルシアン
「嗚呼」
メディ
「私達の出番だよ」
聞こえてきた声に5人はそちらへ顔を向けると、メディが笑んでいた
メディ
「ご苦労様。…良くやってくれたね」
レティシア
「メディの力もあったからな。それに、ユリスもいた」
ルシアン
「ユリス?」
レティシア
「嗚呼…声が聞こえたんだ」
メディ
「……そうか」
ルシアン
「ユリスは親バカだからな」
メディは優しい眼差しでレティシアを見ながら、ゆっくりと彼女の頭を撫でてやる。いつもなら嫌がる筈だが、今は嫌ではないらしい
メディ
「さぁ、全魔法使いへ通達しよう。街を元通りにするんだ」
大型魔獣と小型魔獣が暴れ、それを抑えようと戦った為に荒れた街を…マナの結晶も戻ってきて魔力が回復した魔法使いにメディが命令する
レティシア
「フィピテオ」
男の子
「わ!僕のお家が戻ってく!お姉ちゃん凄い!」
ノア
「ルーウェル」
女性
「はぁ…良かった…ありがとう、魔法使いさん」
フェリックス
「ボイターク」
男性
「シュヴァリエ当主様…!ありがとうございます!」
オリヴィア
「フラウフィ」
女の子
「すごーい!地面がボロボロじゃなくなった!」
メディ
「クラーディ」
職員
「この目で司令官様の魔法が見られるなんて…!」
全魔法使いのおかげで街は元通りになり、民は歓喜にわく。
ジルヴァ
「グルァ…!」
レティシア
「ジル!」
遠くから鳴きながらポルデを背に乗せながらジルヴァが飛んでくる。レティシアが声を上げるとジルヴァはそこへと降り立つ
ポルデ
「良かった…ボロボロだが、大きな怪我は無いようだな」
レティシア
「嗚呼。ジルもポルデも怪我が無くて良かった」
ポルデ
「彼が優秀だからな…怪我など有り得なかった」
レティシア
「ジル…ありがとう」
ジルヴァ
「ウゥ…!」
鼻先にレティシアの額が触れるとジルヴァは目を閉じて嬉しそうに、その温もりを感じる。レティシアは手袋をはめ…小さくなったジルヴァをしっかりと抱き締めた