第30章 貴方を超えて
レティシア
「フィピ、テオ…!」
エドゥアル
「く、そ…っ」
先程まで押されていた白い光が今度は黒い光を押していく。
エドゥアル
「僕は…お前を、守りたかった…のに…!」
レティシア
「違う方法で…守ってくれりゃ…こんな事にはならなかったんだ!」
エドゥアル
「くっ……ぐぁっ…!」
ぐっとレティシアが力を込めると白い光が黒を飲み込み、エドゥアルが思い切り飛ばされ壁にぶつかる。ゆっくりと床へと滑り落ちたエドゥアルは…気絶していた
レティシア
「はっ…はぁ…っ……やった…」
肩で息をしながらレティシアは吐き出す。
だが、もう1つやる事が残っているのを思い出し片手は膝につきつつも…もう片手をマナの結晶へ向ける
レティシア
「フィピテオ…」
すると、マナの結晶は何かから解放されたようで…全員の身体へとマナが戻っていく。生命力と同時に体力まで戻ってくる様な気がして座り込んでいた全員が立ち上がる
リアム
「レティシア」
上を見上げたまま動かないレティシアへリアムが声を掛けると、ゆっくりと振り向き…少しだけ目を潤ませたレティシアは嬉しそうに笑みながら思い切りリアムに抱きつく。
リアムは一瞬驚いたもののしっかりと受け止め、彼女を包み込む
リアム
「頑張ったな」
レティシア
「馬鹿。…リアムもだろ。皆の力が無けりゃ無理だった…」
顔を上げるとレティシアは生きている事を確かめる様にリアムの両頬を両手で挟んで見詰め…唇を重ねた
リアム
「……っ!?」
ノア
「なっ…!?」
フェリックス
「……っ…」
突然の事でリアムは目を丸くした。ノアとフェリックスも目が飛び出るのではないか…そう思う程に見開いていた。
そして、唇を離すとリアムから離れ皆へ顔を向ける
レティシア
「ありがとう、皆…」
ノア
「いや、姫さん!今のどういう事!?」
フェリックス
「そうだ」
レティシア
「んー?そういう事」
悪戯っ子の様に笑うレティシアに2人は、うっと黙ってしまう
ルシアン
「ほら、エドゥアル捕まえたぞ」
そこへ呆れた様なルシアンの声が響いた