第30章 貴方を超えて
ユリス
『思い出せ…今までの事を』
魔力を魔法として変換出来る力を持って生まれた事を何度も恨んだ。魔法を使えたせいで母には暴力を振るわれた。
アリシア
『貴女なんか産むんじゃなかったわ!』
酷い言葉をかけられた事だって少なく無かった。好きで魔法が使える様になったんじゃないのにって、この世界まで憎んだ。
でも、魔法は悪いだけじゃなかった。
『ありがとうございます…貴女のおかげで助かりました!』
『わぁ…お姉ちゃん魔法使えるんだ!凄いね!』
『花弁の魔法!?…ふふ、魔法って怖いだけじゃないのね…貴女の魔法は優しいわ』
助ければお礼をくれる人もいた。悲しんでいる人を喜ばせたくて放った魔法に笑顔になってくれた人も…魔法は悪くないと、言ってくれる人もいた。
ユリス
『今にも殺されそうになっている人の元へは、どれだけ必死に走っても間に合わない。でも、俺達は間に合う』
レティシア
『……え…』
ユリス
『魔法が使えない奴は助けられなかったと悲しまなくちゃならねぇ事が多い。俺達はもう1つ魔法を使うっつー選択が出来る』
レティシア
『魔法を…使う、選択…』
ユリス
『これからもレベルを上げろ。そして、その選択を選び取れる様になれ。したら、今よりも多くの困ってる人を助けられる』
メディと本音で交わした言葉で思い出せたユリスとの会話。そして、そのメディとの会話のおかげで躊躇なく魔法を使う選択が出来るようになった。…助けられる人が増えた
ユリス
『魔法もお前の力だろ』
頼りたくない、そんな事を思っていた魔法…でも、気が付いたら頼りきりだった。それで良いと思える様になった。
今の様に力を貸してくれる皆のおかげで…魔法を好きになれていた事に気が付いた。
絶対に皆を助ける…そして、エドゥアルを捕まえる…!
ユリス
『ふっ…それでこそ、俺の娘だ。俺の力も貸してやる…エドゥアルを止めてやってくれ』
レティシア
「ユリス…っ」
ユリス
『レティシアなら大丈夫だ。…頑張れよ、愛しい俺の娘…』
その声を最後にユリスの声は聞こえなくなってしまった