第29章 終わりにしよう
レティシアとノアが乗ったバイクが先導するようにルシアン達が乗っている車の前を走って暫くすると、地図上で点滅している場所に到着する。
バイクから降りたレティシアとノアがヘルメットを外して負のオーラを纏っている大きな廃家を見上げた
ルシアン
「ここか」
リアム
「確か…3階の広間でしたっけ」
ルシアン
「嗚呼」
車から降りてきた3人も廃家を眺める。
レティシア
「よし、行くぞ」
レティシアの声に全員が頷く。小さく息を吐き出したレティシアは、ゆっくりと廃家の扉を開ける
オリヴィア
「気を付けて…皆…」
ソフィア
「………」
液晶を見ながらオリヴィアが両手を組んで祈る様に呟き、それに答えはしないもののソフィアも静かに息を呑んだ
ソフィア
『その階段、を3階まで上った右側に…対象が、いると思われます』
全員
「了解」
1度、目を合わせてから周囲に気を配りつつ階段を上っていく。恐ろしい程に静かなその空間に不気味ささえ覚える。空気が冷たく呼吸をする度に体温を下げられる様な気がした
3階まで階段を上りきるとソフィアの言葉通りに右側へ行くと、大きな扉があった
レティシア
「ふぅ……行くぞ」
フェリックス
「レティシア、気を付けろよ」
レティシア
「嗚呼」
フェリックスの言葉に頷いてから1度、瞼を閉じて細く息を吐き出してからドアノブに手をかけ…ゆっくりと開く。
エドゥアル
「やぁ…待っていたよ」
中から聞こえたのは、乗り込まれているのに余裕なのが伝わってくるエドゥアルの笑みを含んだ声だった。
他の所よりも少しだけ明るい部屋にエドゥアルは、1人立っていて…この薄暗さで彼の白さがより引き立っているよう。
エドゥアル
「5対1…しかも、魔法使いが3人…僕が不利すぎないか?」
レティシア
「はっ、馬鹿な事言うな。こっちはマナの結晶がねぇから魔力回復なしっつーハンデ背負ってんだよ」
エドゥアル
「それもそうだね。…でも、シュバリエ家の現当主にユリスから体術を教えられたルシアンもいるからな、やはり不利かな?」
呑気に笑みを浮かべながら言葉を並べるエドゥアルに全員が苛立ちを持つ