第29章 終わりにしよう
リアム
「マナの結晶だ…」
ルシアン
「感じ悪いな。そんな見える所に」
エドゥアルのすぐ近くにゆっくりと回っているマナの結晶があった。
レティシア
「ぜってぇに…あんたを捕まえる」
エドゥアル
「ふふ…魔力量が多いからとはいえ回復が出来ないんだ、いずれは底尽きる。そんなお前達が僕に勝てるとでも?」
少しだけ歪んだエドゥアルの笑みに背筋がゾッとするのを感じるが、それを振り払うように拳を握る
エドゥアル
「負けると分かっていて挑む必要など無いだろ…ほら、レティシア…2人だけの世界を築こう」
優雅な動きでレティシアへエドゥアルが手を差し出す。こちらに来るんだと、彼女だけは特別だと…表すように
レティシア
「断る。…んな世界ならいらねぇ」
エドゥアル
「へぇ…?それなら、無理矢理にでも…そう思わせるしか無いようだな」
レティシアからの明確な拒絶に僅かだがエドゥアルの額に青筋が立ったような気がする。
エドゥアル
「ゴズーラ」
フェリックス
「ボイターク」
エドゥアルが掌を向けて呪文を唱えると炎が5人に襲い掛かるが、それを素早く前に出たフェリックスの分厚い壁によって退ける。丁度、視界が塞がったのを利用してフェリックス以外の4人が飛び出てエドゥアルへ駆ける
レティシア
「ふっ…!」
エドゥアル
「相変わらず…レティシアの回し蹴りはユリス譲りで強烈だな」
レティシアの脚を腕で受け止めながら笑うエドゥアルは気味が悪かった。エドゥアルの背後に迫ったルシアンが彼の脇腹へと蹴りを入れる
エドゥアル
「……っ…これは、効いたな」
僅かに後退するエドゥアルを追い込む様にリアムが素早い動きで位置を変えながら拳を入れていき、その隙にノアがロープで身体を拘束する
エドゥアル
「少しばかり…お前達を甘く見ていたようだ」
その瞬間エドゥアルの纏っていた空気が変わった。
浮かべている笑みはどこまでも温度を持たず、黒いオーラのようなものが彼を包み込んでいるみたいで…全員が息を呑み慌ててエドゥアルから距離をとる