第28章 大型魔獣と突然変異
そして、ジルヴァのおかげで彼は真っ黒な面を取る気になったらしく…レティシアへ近付く。
彼は大きく息を吐き出すとフードを外してから、面に手をかけゆっくりと取る。
人間よりも白い肌に少しだけグレーが混ざり、目尻が僅かに垂れた目の中で光るルビーの様な瞳…醜さなんてどこにも無かった
ユリスの時のように何も言わず、じっと見詰めるレティシアの瞳から逃げるように彼は顔を逸らす
「ほら…醜いんだろ」
レティシア
「いや」
「?」
レティシア
「ふっ…やはりな」
「……」
レティシア
「優しい顔をしているじゃないか」
柔らかい笑みと共に向けられた言葉に彼は思わず頬を染める。
「そんな言葉を掛けられたのは…初めてだ。変な人間だ」
そう言いつつもどこか嬉しさが覗く表情を彼は浮かべていた。それを見た他のメンバーも安心した様に表情を柔らかくする
リアム
「え、じゃ最初は違ったのか?」
ポルデ
「嗚呼…最初は四足歩行だった」
人間に限りなく見た目が近く、会話も出来る魔獣はポルデと名乗り…今は彼の事について話していた。
レティシア
「つまり、突然変異…ってやつか」
ポルデ
「朝、目が覚めたらこの状態だったから詳しい事は私にも…」
ルシアン
「恐らく、これについては本当に自然発生だろうな」
ノア
「ん、そんな感じする」
レティシア
「けど、まさか…突然変異か…ウェディーに伝えておくか」
ルシアン
「嗚呼、あいつなら何か分かりそうだな」
レティシア
「ん。……ところでポルデ」
紫の瞳がポルデに向けられると彼は不思議そうに首を緩く傾げる
レティシア
「最近、大型魔獣の暴走が頻繁に起こっている」
ポルデ
「確かに…以前にも増して多い」
レティシア
「私達はこの件に関わっているだろう人物を捕まえなきゃなんねぇ。暴走した魔獣を鎮めるのが少し難しいんだ。…そこで、ポルデの力を借りたい」
レティシアの真剣な瞳を見てポルデは僅かに目を丸くする。
人間が自分を頼ってくれている、それも自分を受け入れてくれた彼女が…そう思ったらポルデは嬉しくなり笑みを浮かべる