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Smile Bouquet

第28章 大型魔獣と突然変異




「…っ…人間?」


その人物から低い声で聞こえてきたそれは僅かな戸惑いが滲んでいた


レティシア
「あんたは…人間じゃないのか」

「…っ…私を貴方達と同じ人間にするな!」

レティシア
「まさか…魔獣、か…?」

ジルヴァ
「にゃ…!」


レティシアの声に彼が反応するよりも先にジルヴァが声を上げ、何の躊躇もなく近付いて行く。


レティシア
「ジル…!」


驚いて止めようとしたが、動かず彼に近付くジルヴァを見ているのに気が付けば止めるのをやめた。
やがて、脚元にジルヴァが到着すると彼はしゃがんでジルヴァと何やら言葉を交わしている


「ふぅ…貴方達が敵でないのは分かった。だが、教えてくれ…何故、私達を苦しめる」

ルシアン
「暴走させているのは俺達ではない。俺達は暴走した彼等を戻しているんだ。傷付ける人間ばかりじゃない」

「だが、傷付けるのは貴方達、人間だろう!私は好きで隠れて、好きで顔を隠しているわけじゃない!」


ぎりっと奥歯を噛み締めて憎悪剥き出しの瞳をレティシア達へ向ける。言葉も交わせて二足歩行の見た目は人間の様だが、彼の話を聞く限り魔獣なのだろう。

声を荒らげた彼にレティシアが1歩近付く


レティシア
「私に…見せてくれないか」

「は…?」

レティシア
「私は知っている。…嫌われ隠されたものが必ずしも怖かったり醜かったりしないと」


レティシアの記憶に残る左右の瞳の色が違うユリスの姿。
彼もまた昔、言われた言葉に囚われ片目を隠していた…だが、幼かったが覚えている。彼のもう片方の瞳を見せてもらい…それが綺麗で怖いものでも何でもなく、自分を喜ばせるものであったと。
だから彼もまたそうだろうと…レティシアは優しく言葉をかける。


「…っ、見せられるわけがないだろう!」

ジルヴァ
「にゃう」

「だが…」

ジルヴァ
「ウゥ…!」


まるでレティシアなら大丈夫!とでも言っているかのようなジルヴァの鳴き声にレティシアは暖かくなる。



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