第27章 彼女の地雷
ジルヴァ
「グルゥ…!」
レティシア
「ジル…落ち着け、私だ……ごめん、ごめんな…苦しいよな…ジル。…君に魔法を掛けたくないんだ。ただでさえ大小の魔法をかけているのに…」
鼻息荒くレティシアを睨み付けてるジルヴァ。
他を探していたユリスがレティシアがいる場所に駆け付けると、慌てて彼女に近付く
ユリス
「レティシア!危ない、離れるんだ」
レティシア
「嫌だ…ジルがこんなに苦しんでるんだ、私が助けてやらないと」
ユリス
「レティシア…!」
ユリスが腕を掴んで止めようとするが、レティシアがその腕を振り払う。そして、また1歩…1歩とジルヴァへ近付いていく。
レティシアをじっと見詰めるジルヴァは徐々に落ち着きを取り戻していき、荒かった息も静かになる
レティシア
「……ジル…おかえり…」
落ち着いたジルヴァの鼻先に触れると身体が小さくなり、今回の様に小さくなる。優しくジルヴァを抱き上げたレティシアの視線は鋭く尖る
レティシア
「なぁ…どいつだよ、ジルにこんな事したのは…大体予想は出来てるけどなぁ…」
ユリス
「レティシア…落ち着け」
レティシア
「…大事な家族実験体にされて、落ち着けるわけないだろ」
ルシアン
「その後…かなりこいつが暴れてな。ユリスが止めなきゃ研究所は壊れてた」
リアム
「すげぇ…」
ノア
「そういう所が格好良いんだよなぁ」
レティシア
「もう良いから。帰るぞ」
ウェディー
「気を付けてね」
レティシア
「嗚呼。…こっからだとユリスの家が近ぇからそっちに今日は帰るか」
リアム
「え─」
リアムが問うよりも先にレティシアは呪文を唱え、ある一軒家の前に移動していた
リアム
「おい!」
レティシア
「使ったぞ」
リアム
「またかよ…って、ここ」
ルシアン
「ユリスの家だ」
レティシア
「ほら、行くぞ」
すたすたと歩いて行くレティシア達の背中をリアムも慌てて追い掛け、入室する。
部屋は埃等もなく今でも誰かが使っていそうで…リアムはきょろきょろしてしまう