第27章 彼女の地雷
その瞳に理性など無く…目の前のレティシアを睨む。
レティシアはジルヴァを助けたくてガラスへ掌を向ける
所長
「無駄だ!そのガラスは頑丈に作られている。その魔獣が暴れても壊れないくらいにな」
ニヤニヤと笑みを浮かべる所長をレティシアが睨む。
研究員を全て拘束したルシアン達も彼女の元へ戻ってくる
レティシア
「無駄かどうかは…やってから決める」
所長
「ふっ…やれるものならやってみな!」
レティシア
「ふぅ……フィピテオ…!」
両掌を向けガラスに向かって空気の塊のようなものをぶつける。
すると…バキバキっとヒビが入り今にも割れそうになるが、レティシアが再び呪文を唱えると彼女の掌に向かって細かくなったガラスが吸い込まれていった
所長
「な…っ」
レティシア
「ジル…っ」
リアム
「危ねぇんじゃねーかっ?」
ノア
「そうだよ、姫さん…っ」
ルシアン
「レティシアは…言ったって聞かない」
リアム
「でも…っ」
未だに暴れているジルヴァに近付こうとするレティシアにリアムとノアは慌てる。だが、初めてジルヴァが大きくなった時…止めても聞かなかったレティシアを思い出したルシアンは拳を握ったまま見守る
それを見たリアムとノアは顔を見合わせてからルシアンに倣う
レティシア
「ジル…ごめんな…」
ジルヴァ
「グルァ…!」
ゆっくりと近付くレティシアを威嚇する様に唸るジルヴァを、彼女は眉を下げて見詰める
レティシア
「私だよ、ジル…もう大丈夫だから…一緒に……っ!」
ノア
「姫さん…っ」
ルシアン
「レティシア…」
鎖に繋がれたままでも動かせる範囲で揺れたジルヴァの鋭い爪の先がレティシアの頬を傷付ける。それに驚いた3人が近付こうとするもレティシアが手で制す。
ジルヴァは自分がした事により何かを思い出したのか急に大人しくなり、表情が落ち込んだように見えた
レティシア
「ジル…大丈夫……一緒に帰ろう。……フィピテオ」
ジルヴァ
「ウゥ…っ」
レティシアがジルヴァに手を伸ばすと繋がれている鎖を魔法で外す。その行動に3人は息を呑むのが…レティシアは手を伸ばしたまま下ろさない