第26章 呪縛と秘密
熊魔獣
「グオォッ…!」
レティシアは入っていたスリットを更に太腿が晒されるまで破り、動きやすくする。
熊魔獣が大きな前脚をレティシア達に向けて振り下ろす
レティシア
「下がれ!」
ルシアン
「…くそ、何でこんな所に…!」
レティシアの一声でルシアンとリアムは下がる。
ルシアンとリアムもネクタイを外し、ジャケットを脱ぎ捨てて動きやすくする。
今度は突撃してこようとする魔獣を止めようとレティシアは掌を向ける
レティシア
「フィピテオ…!」
熊魔獣
「グォ…ッ!」
大きな壁にぶつかった魔獣は、凄い音を立ててその場に尻もちをつく。参加者に怪我をさせないようにレティシア達は彼等の壁になる
裕福男性
「か、彼女は魔法が使えるのか…!」
裕福女性
「助けてちょうだい!」
レティシア
「助けてやるから、黙って守られてろ」
片方の口角を上げたレティシアは、堅苦しさから抜け出せて普段通りに笑う。
レティシア
「これ持ってきて正解だったな」
リアム
「んなもん、持ってこようと思うか?普通」
レティシア
「思え。いつ来るか分かんねぇんだから。…今みたいにな」
晒されたレティシアの太腿には鎮める薬が巻き付けられていた。リアムはそれに表情を引き攣らせるも、ルシアンは相変わらずな行動に、ふっと笑ってしまう
レティシア
「フェリックス!この場から参加者を避難させろ。クラリスは案内だ…出来るな?」
フェリックス
「分かった」
急に声を掛けられたクラリスは目を丸くしたものの、振り向いた姉の表情は既に守護官で…彼女は自分の職務を果たそうとしている。だったら、フォンテーヌ家次期当主として家を参加者を守らなきゃ…そう思いクラリスは表情を引き締めた
クラリス
「分かりました!…フェリックス様こちらです!」
フェリックスはその声にしっかりと頷く。
参加者は2人の指示に従って大人しくついて行く
それを確認したレティシア達は戦闘態勢に入り、地面を蹴ると一気に魔獣と間合いを詰める。
リアム
「ふっ…!」
熊魔獣
「グ…ッ!」
リアムが後ろ脚を思い切り蹴ると、その僅かな痛みに動き回っていた魔獣に隙ができる