第26章 呪縛と秘密
フェリックス
「何だ。覚えてるじゃないか」
レティシア
「こんなの…覚えてたくなかったよ」
幼い頃に習った…というよりも、もしもの時の為に覚えておいた方が良いのでは…とステラが教えてくれたのだ。
この時の為だったのかと、レティシアは複雑そうな表情を浮かべる
裕福女性
「はぁ…素敵ね」
裕福男性
「絵になるな…」
裕福女性
「確かに…作中のワンシーンでも観ているようだわ」
クラリス
「姉様が踊っている所…初めて見た…」
会場中が2人を観ている為、挨拶を一旦引き上げたクラリスがルシアンとリアムに近付きながら思わず呟いた。
姉と何かをした記憶が無く…それを見られたのが嬉しいのと、姉の久し振りであるのにしっかりとこなせる姿に改めて尊敬をする。
ダンスを終えるとレティシアはお辞儀をして、そそくさとルシアン達の元へ戻ってくる。
リアム
「お疲れ」
レティシア
「本当に疲れたわ…」
クラリスが居るのを確認したレティシアは普段の口調を隠す。
クラリス
「流石、姉様。とても素敵だったわ…!」
レティシア
「あ、ありがとう」
僅かに苦笑したが、微かに感じるピリついた様な空気を感じ取ったレティシア、ルシアン、リアム、フェリックス…そしてジルヴァは同時に小さく反応する
クラリス
「姉様…?」
─パリンッ…!
「きゃああっ!」
「何…っ!?」
フェリックス
「ボイターク!」
突然ホールの大きな窓ガラスが大きな音を立てて飛び散ったものの、フェリックスが放った魔法によって参加者が怪我をおう事ははかった。
クラリスを抱き締めてガラスから守ったレティシアは、腕の中にいる妹を見る
レティシア
「大丈夫か、クラリス」
クラリス
「え、ええ…」
突然の事に驚いたもののクラリスはレティシアの声に頷く。
その声は先程までの上品な口調ではなく、逞しい口調へと変わっていて…少し驚いたものの格好良さがあった
窓ガラスを割ったのは熊の様な大型魔獣だった。
クラリスをレティシアは離すとルシアンとリアムに近付く
ガラスに突っ込んだ大型魔獣は、ブルブルと首を横に振ってからギラついた瞳をレティシア達へ向ける。
参加者達はその恐ろしさに身体が固まってしまう