第26章 呪縛と秘密
何も答えないレティシアに2人は、やっぱり間違えて…と慌てだした瞬間にレティシアは、ふわりと笑んだ
レティシア
「フェリックス…さんから聞きました。色々、心配していただいたみたいで…ありがとうございます」
レティシアの言葉に2人は1度、顔を見合わせてから嬉しそうに笑顔を向け…イリーネはレティシアの両手を優しく握る
イリーネ
「何があったかは聞かないわ。…でも、貴女が元気そうで良かった」
エヴァン
「嗚呼…本当に」
イリーネの瞳には涙が浮かんでいて、彼等がどれだけ心配してくれていたのかが分かり…レティシアは申し訳なさそうに眉を下げる。
イリーネ
「本当に…本当に綺麗になったわね」
レティシア
「いえ、そんな…」
エヴァン
「彼らは?」
レティシア
「私の大事な仲間です」
イリーネ
「仲間?」
不思議そうにするイリーネとエヴァンを見てレティシアは少し悩んでから、心配を掛けてしまったし…と掻い摘んで自身の過去を伝えた。
イリーネ
「そう…辛かったわね…」
レティシア
「……親には正直、恵まれなかったと思っています。ですが、その分、周りには恵まれたなって凄く思います。育ての親も仲間も…貴方がたも」
イリーネ
「え、私達…?」
レティシア
「はい。心配して…私の為に行動を起こして下さった…本当にありがとうございます」
エヴァン
「いや、良いんだ。君が今幸せなら…良い」
その言葉にレティシアはルシアンとリアム、ジルヴァを順に見てから2人に視線を戻し
レティシア
「はい。とても幸せです」
彼女の嘘偽りないその笑顔にイリーネとエヴァンの心も軽くなった。他にも挨拶をしなくてはならない2人は、名残惜しそうにその場を去った
ルシアン
「良い人…だな」
レティシア
「嗚呼」
暖かく…そして軽くなる心にレティシアは蓄積された黒い何かが少しだけ剥がれた様な気がした。
その後は目立たないようにしつつ食事を楽しんだりしていた…そんな時だった