第23章 食い違いの悲劇
レティシア
「あんたのお陰であいつらも捕まえられたしな。ありがとう」
オリヴィア
「お礼を言うのは私の方よ…本当にありがとう。それで、その…」
レティシア
「ん?」
オリヴィア
「私をここに置いてくれない…かしら」
レティシア
「え?」
オリヴィア
「私は貴方達みたいに現場に行って戦う事は、出来ないわ。でも…治すのは得意なの。助けてくれた貴方達の役に立ちたいの…」
レティシア
「役に立つとか、んなの良いよ。…仲間ってのは持ちつ持たれつだ」
オリヴィア
「じゃあ…っ」
レティシア
「嗚呼。あんたを歓迎するよ…オリヴィア」
ふわっと優しく笑みを浮かべるレティシアは、オリヴィアにとっては恩人では片付けられない大きな存在になった。
メル
「そ、そんなの嘘だ!メル達を油断させて捕まえる為に作った嘘だ!」
メルは知らなかったオリヴィアの過去に動揺して瞳を揺らす
レティシア
「嘘じゃない事はあんたらが1番分かってんじゃないのか」
メル
「……っ…」
リオン
「……メル…姉さんが嘘言ってる様には─」
メル
「うるさいうるさい!!ここで認めたらメル達がやってきた事が無駄に思える!」
ずっとオリヴィアの隣で口を閉ざしていたリオンが声を荒らげるメルに言葉を投げるが、メルは聞きたくないとばかりにそれを遮る
ルシアン
「お前等も助けを呼べば良かった」
メル
「今更そんな事!」
ヴィム
「それに俺達は助けを求めましたよ。…でも誰も助けてくれなかった」
リアム
「オリヴィアさんの様に施設に連絡すれば…良かったんじゃないのか」
リオン
「出来るわけ…ねぇだろ…っ」
メル
「お母さんやお父さん…他の皆も!幸せになれって送り出してくれたんだ!…助けてなんて言ったら…悲しませるじゃねぇですか!」
レティシア
「……あんた達が傷付いてる方が皆、傷付くんじゃないのか」
ヴィム
「……っ…」
本当は家族に助けを求めたかった。
でも、あんなに暖かく送り出してくれた皆を心配させたくなかった…それに迷惑を掛けたくなかった。